日本からの外国送金は難しい?

近年、日本で外国送金が難しくなっているという話は聞いたことがありますか?日本では2010年に資金決済法が施行され銀行以外の事業会社でも外国送金のサービスを提供できるようになりました。そのことから外国送金はより身近なものになったはずなのですが、難しくなっているというのはどういうことなのでしょうか。

実は、難しくなっているのは銀行を利用した外国送金なのです。外国送金を専門に行うサービスは多くなりましたが、特に高額の送金や企業の送金には銀行が選ばれる傾向にあります。銀行に送金を依頼してもすぐに受け付けてもらえなかったり、場合によっては断られることがあります。これは、マネーロンダリング防止の観点から銀行が顧客からの海外送金の依頼を厳しく精査するようになったためです。

2018年にFATF(金融活動作業部会)というマネーロンダリング対策の策定・履行を行う国際機関により日本の銀行によるマネロン監視の甘さが指摘され、監視強化を勧告されました。勧告に従うにはより厳格な監視システムを導入しそれに応じてスタッフの補充や教育が必要となりますが、財務基盤の弱い地方銀行の中にはそのコストがまかなえず外国送金サービスそのものを停止するところさえ現れました。資本余力のある大手の銀行でも一部では送金手数料を上げることでそのコスト増に対応しました。

さて、難しくなった銀行での外国送金ですが、断られやすいケースにはある特徴が見られます。この特徴を把握し対策を立てることでスムーズに送金を行いたいものです。

銀行に送金を断られやすいケース

ケースその1 口座のない銀行に現金で持ち込み送金を依頼する。

ほぼ確実に断られます。どうしても現金で送金したい場合は、ウエスタンユニオンなど外国送金専門会社の利用を検討してください(ただし、一定の金額を超える送金は受け付けてもらえません。)。自分が口座を持っている銀行であっても、高額の現金を口座に入金した後に、すぐにそのお金を外国に送金しようとした場合は、断られるか、あるいはその理由や資金の出所を尋ねられます。また、資金の出所を確認するためそれを証明できる資料の提出を求められますが、現金の出所を証明することは不可能なので送金が断られる可能性は高いでしょう。

ケースその2 口座を開設したばかりの銀行に他の銀行の口座から資金を振り込んですぐに送金を依頼する。

銀行にとって、送金原資の出所を確認することはマネロン対策のもっとも重要な部分です。原資が自行の口座である程度の期間にわたり蓄積された預金であれば、銀行が資金の出所を気にすることはないでしょう。しかしながら、高額のお金が他行から振り込まれそれをすぐに外国へ送金しようとすれば、それが自分名義の口座からの入金であっても銀行には疑わしい取引とみられてしまいます。もし送金原資を預けている銀行が海外送金をしていなのであれば海外送金をしている他の銀行に移してから送金せざるを得ません。そのような場合は、お金を移す前に振込先の銀行に事情を話し相談することをお勧めします。その時、銀行が安心して外国へ送金できるよう原資が何なのか説明して、そしてそれを裏付ける資料を提出してください。

ケースその3 普段取引したことがないような高額の送金を依頼する。

普段から大きな入出金が行われている銀行口座であれば、そこから大きな金額を外国に送金しても銀行はあまり疑わしく思わないかもしれません。ところが、普段あまりお金の出入りがない口座から突然大きな金額を外国に送金してほしいと依頼されれば銀行は警戒します。この場合でも、まずこの送金が何を目的としたものなのかをはっきり銀行に説明することが大切です。そしてその説明を裏付ける資料をあらかじめ用意しておくのがよいでしょう。

ケースその4 自分以外が名義となっている銀行口座への送金を依頼する。

留学費用の支払いなど、他人名義の銀行口座に送金したいこともあると思います。第三者の口座に送金することは自分名義の口座に送金するよりもリスクの高い取引とみられます。第三者の口座への外国送金は一切行わないという銀行さえもあります。まず、受取人との関係や送金目的がはっきりしており、金額もそれに見合ったものでれば疑わしい取引と判断されることは少ないでしょう。しかしながら、受取人が家族や親類以外の個人であったり、聞き慣れない名前の外国企業であれば銀行は警戒します。そこで大切なのは、送金目的をはっきりと銀行伝え、それを裏付ける資料を提出することです。物品の購入であれば、請求書や送金先企業のWebサイトのURLは最低でも必要となります。不動産の購入であれば、売買契約書のコピーや、まだ契約を交わしていないのであれば、購入する不動産の仕様が確認できる資料は最低限必要となります。現地の弁護士に売買契約の精査を依頼する場合、弁護士事務所の銀行口座に購入資金を送金することもあると思います。その場合は、弁護士に仕事を依頼していることを証明する資料も用意するとよいでしょう。

ケースその5 発展途上国に送金を依頼する

一般的には、先進国に送金するよりも発展途上国に送金するほうが銀行に警戒される傾向にあります。様々な国際機関が制裁国家やマネロンの高リスク国のリストを発表しており、外国送金を受け付ける際に銀行はかならずこれらのリストのチェックを行っています。外国送金をしたことがある人であれば、銀行から送金が北朝鮮と関連があるかどうか問われた経験があるかと思います。リストにない国だとしても顧客との関わりが明白でない発展途上国の口座に初めて送金を行おうとすれば、リスクが高い取引と判断されかねません。このようなケースでも、やはりしっかりとした説明と送金目的を裏付ける資料の用意しておくことが大切となります。

ケースその6 明確な目的がない送金を依頼する。

外国に住んでいる人であれば、日本にあるお金を居住国に移動することも頻繁にあると思います。その目的が、資産の移転や生活費といった、送金の裏付けとなる取引がない場合も考えられます。このような場合、目的を証明できる資料を銀行に提示することができないため、特に高額の場合すぐに引き受けてもらえないことがあります。自分名義の口座への送金であれば、銀行が資金源を把握している限りにおいては引き受けてもらえるでしょう。しかしながら、家族や親族に送金を依頼する場合はスムーズにいかないことが予想されます。このようなケースでは、受取人が実際に現地に居住していることを示す資料や、戸籍など送金人と受取人の関係を示す資料を用意するのが良いでしょう。

いかがでしたでしょうか。銀行がすぐに送金を引き受けてもらえない可能性が高いケースをご紹介しました。銀行にはあらゆるケースを想定したマニュアルがあるわけではないので、銀行の違いはもちろん、同じ銀行でも店舗や担当者により対応が異なることがあります。ご利用になる銀行に関わらず、心がけていただきたい点を以下にまとめました。

1.普段から取引のある銀行を利用する。(給与の入金など頻繁に入出金がある)

2.すぐに送金を引き受けてもらえないことを想定し、時間に余裕をもって行動する。

3.銀行から送金の理由や原資について尋ねられた場合は、何かを隠したりすることなく ありのままを詳しく伝える。

4.送金の原資や目的を証明できる資料を事前に準備しておく。

5.銀行からの要求には、イライラせず辛抱強く対応する。

First Eastern FXでは、16年以上の業界経験のあるカスタマーディーラーがお客様の外国送金をサポートしております。日本からの送金でお困りの際はご相談くださいませ。

山田 悟
オーストラリアへ移住して以来、一貫して外国為替業務に従事。前職では、中華系外国為替専門金融機関で16年間、日本部門の責任者およびカスタマーディーラーとして多くの在豪邦人の個人・法人顧客の外国送金や外貨両替を支援。2022年からFirst Eastern FX日本デスクのカスタマーディーラーを担当。趣味はプログラミング、レコード鑑賞、ベースを弾くこと。
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